暗闇の息づかい | 飴色の時間と記憶の彼方

暗闇の息づかい

眼鏡は外させた。
ゆっくりと髪を後ろにたばねるようにして、アイマスクできつく、しっかりと目隠しをした。
落ち着いた紺色の柔らかな素材のワンピースは着たままである。
彼女は息を殺している。
両手を後ろ手にしてバスローブの紐できちっと縛り上げ、手の自由を奪った。
床に膝をつき、上半身をベッドにあずける格好である。
彼女の口元から微笑みが消えた。
耳がすっぽりと入るような大きいヘッドホンをつけた。
ミドルテンポの重い、深いリズムのシークェンスのような音楽を延々と聴かせる。
視覚、聴覚を奪い、両手を拘束されているのである。
ゆっくりとワンピースの裾をたくしあげる。
蒼白い血管が浮き出ているような透き通った肢があらわになる。
肢を開かせて、腰を突き出させる。
彼女が嗚咽のような小さく深いため息をついた。